2025.11.01
今年、港区で起きた5つの変化
―― 静かに進んだ「選別」の一年 ――
2025年の港区不動産市場を振り返ると、「大きな事件」は少なかったかもしれません。急騰もなければ、急落もない。ニュースになるような派手な動きは限定的でした。しかし、実務の現場に立つ人間から見ると、今年ほど市場の性質が変わった一年はありません。
港区では、五つの変化が同時に進行しました。
第一に、再開発の“日常化”です。
麻布台、虎ノ門、三田、西麻布。再開発は特別な出来事ではなく、都市の前提条件になりました。その結果、「再開発があるから価値が上がる」という単純な論理は通用しなくなっています。問われるのは、その再開発がどのような街の使われ方を生むかです。
第二に、金利のある世界への完全な回帰。
金利はもはや一時的な変動要因ではなく、判断の前提になりました。借入を前提とした投資は、量から質へと移行し、資金調達力そのものが選別要因となっています。
第三に、インバウンドの質的転換。
人数の回復以上に重要だったのは、滞在目的の変化です。観光から生活へ。消費から拠点へ。港区は、その受け皿として評価される一方、エリアごとの差がはっきりと可視化されました。
第四に、富裕層の動きが「静か」になったこと。
派手な売買は減りましたが、動いていないわけではありません。むしろ、水面下での入れ替えが進んでいます。情報を集め、待ち、必要な時だけ動く。そうした姿勢が市場を支配しました。
そして第五に、不動産に対する価値観そのものの変化です。
利回り、価格、表面利得。これらは依然として重要ですが、それ以上に「なぜ持つのか」「何に使えるのか」が問われるようになりました。
2025年は、港区不動産において「選別」が静かに完了した一年です。
この変化を理解できた人と、できなかった人。その差は、これから数年で明確になります。