2026.08.21

金利上昇・利回り低下で不動産投資はどうなる?オリックス銀行の大和証券グループ入りから考える

不動産投資を取り巻く環境が、大きく変わり始めています。

物件価格は依然として高い水準にあり、都心部を中心に収益不動産の利回りは低下。一方で、長く続いた超低金利の時代は終わり、「金利がある時代」に突入しております。

つまり現在は、「物件の利回りは低いのに、借入金利は上がる」という、不動産投資家にとって決して簡単ではない局面に入っています。

そんな中、2026年8月、不動産投資家にとって馴染みの深いオリックス銀行が、大和証券グループの一員となりました。

今回は、このニュースをきっかけに、これからの不動産投資と融資について考えてみたいと思います。

オリックス銀行が大和証券グループへ

2026年8月3日、オリックス銀行の全株式が大和ネクスト銀行へ譲渡され、オリックス銀行は大和ネクスト銀行の完全子会社となりました。

不動産投資をしている方であれば、「オリックス銀行=不動産投資ローン」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

今回の再編で注目したいのは、単に銀行の親会社が変わったということだけではありません。

オリックス銀行が持つ融資・信託機能や専門人材と、大和証券グループが持つ富裕層を含めた顧客基盤、預金獲得力、資本力が組み合わされることになります。

今後の商品や融資方針がどのように変化するかは現時点では分かりませんが、不動産融資を含めた資産運用・資産形成の分野で、新しい動きが出てくる可能性があります。

「低金利だから買える」時代からの転換

これまでの不動産投資では、低い借入金利が大きな追い風になっていました。

例えば、表面利回り5%の物件でも、借入金利が1%台であれば一定のイールドギャップを確保することができます。

しかし、仮に物件の表面利回りが5%のまま、借入金利が3%近くまで上昇したらどうでしょうか。

単純な差はわずか2%です。

しかも実際の不動産経営では、管理費、修繕費、固定資産税、火災保険、原状回復費、空室損失などが発生します。

「表面利回り5%-借入金利3%=2%儲かる」

というほど、不動産投資は単純ではありません。

金利が上昇すればするほど、表面利回りではなく、実際に手元にいくら残るのかという「キャッシュフロー」の重要性が増していきます。

金利が上がれば、本来は不動産価格に下落圧力がかかる

理論的に考えれば、金利上昇は不動産価格にとってマイナス要因です。

投資家が求める利回りが上昇すれば、同じ賃料収入を生む物件でも購入できる価格は下がるからです。

ところが現在の不動産市場を見ると、必ずしも単純に価格が下落しているわけではありません。

特に東京都心部では、建築費や人件費の上昇、土地価格、海外投資家からの需要、供給の限られた好立地物件への資金流入など、複数の要因が価格を支えています。

その結果、

「金利は上がっている。しかし物件価格は高い。だから利回りは低い」

という状況が生まれています。

ここが、現在の不動産投資の難しいところです。

これから重要になるのは「融資を受けられるか」だけではない

数年前までは、不動産投資の相談で、

「この物件はいくら融資が出ますか?」

という質問が非常に重要でした。

もちろん現在でも融資額は重要です。

しかし、これからはそれだけでは不十分だと考えています。

見るべきなのは、

いくら借りられるか。
何年間借りられるか。
金利はいくらか。
そして、その条件でもキャッシュフローが残るか。

という点です。

融資割合が高くても、金利が高く、返済期間が短ければ、毎月の返済負担は大きくなります。

逆に、多少自己資金を投入しても、長期融資を組むことで安定したキャッシュフローを確保できるケースもあります。

これからの不動産投資では、「融資額の大きさ」だけで金融機関を比較するのではなく、物件と融資をセットで判断することが、より重要になってくるでしょう。

利回りだけで物件を選ぶ時代でもない

一方で、「金利が上がったから高利回り物件を買えばいい」という話でもありません。

高い利回りには、高い利回りになる理由があります。

立地、築年数、空室リスク、修繕リスク、賃貸需要、再販時の流動性などを考えず、表面利回りだけを追いかけると、出口で苦労する可能性があります。

今後は、

① 購入時の利回り
② 借入金利と返済期間
③ 実際のキャッシュフロー
④ 将来の修繕費
⑤ 売却時の残債
⑥ 出口で想定される売却価格

ここまでを一つの投資として考える必要があります。

不動産投資は「買えた人」ではなく「持ち続けられる人」が強くなる

金利上昇局面では、これまで以上に物件選びの差が出ます。

低金利の時代には多少収支が甘くても、金利の低さがそれを吸収してくれるケースがありました。

しかし、これからはそうはいきません。

購入時点で、

「金利がさらに上がった場合でも保有できるのか」

「空室が発生しても返済できるのか」

「大規模修繕が発生しても資金繰りに問題がないのか」

「5年後、10年後に売却するとしたら残債はいくらなのか」

まで考えておく必要があります。

これからの不動産投資で重要なのは、単に「買える物件を探す」ことではなく、「長く持てる物件を適切な融資条件で買う」ことではないでしょうか。

金利上昇は、必ずしも悪いことばかりではない

金利上昇という言葉だけを見ると、不動産投資には逆風のように感じます。

しかし、市場環境が変化すれば、当然、売主側の事情や金融機関の融資姿勢も変化します。

これまで価格が高くて購入できなかった物件に価格調整が入る可能性もありますし、金融機関の再編によって新しい融資商品や顧客層が生まれる可能性もあります。

今回のオリックス銀行の大和証券グループ入りも、そうした金融環境の変化を象徴するニュースの一つとして、今後の動向を注視したいところです。

不動産投資にとって重要なのは、「金利が上がったから買わない」「価格が高いから買わない」と一律に判断することではありません。

金利、利回り、融資期間、キャッシュフロー、そして出口。

それらを総合的に分析したうえで、その時代に合った投資をする。

不動産市場が大きく変わりつつある今だからこそ、物件を見る力だけでなく、金融を見る力がこれまで以上に重要になっていると感じています。